卵巣の活動が加齢に伴って徐々に弱まり、月経がこない状態が1年間続いた時に、1年前を振り返って「閉経した」と判断します。個人差はありますが、 日本の平均閉経年齢は約 なお、これは「自然閉経」の場合です。中には、子宮筋腫やがんの治療で、閉経前に左右の卵巣を摘出する場合もあり、その場合には 「人工的な閉経」 として通常より早めに閉経となります。. また、 「早発卵巣不全」 という疾患もあります。これは「40歳未満で卵巣機能が低下して無月経(月経が3ヶ月以上無い状態)となった状態」のことで、発生頻度は低いものの心身に大きな影響を与えます。. 女性が持つ卵胞(卵子を包む袋のようなもの)の数は、生まれる前(つまり胎児期)にすでに決まっており、出生時点で数百万個ありますが、これは有限で生まれた後には増えません。思春期になる時点で、卵胞の数は約40〜50万個まで減少し、 卵胞が残り個未満になると閉経する とされています。(文献1). なお、自然な閉経時期には、異なる国や文化間でも大きな差があります(文献2)。生まれつきの卵胞の数には遺伝的な要因が主に影響を与えているものの、 遺伝的ではない要素が閉経時期に影響を与える こともわかってきています。. 例えば、 喫煙習慣や教育水準(経済状況の指標)、婚姻状態 など、いくつかのライフスタイルや生活環境が閉経時期と関連していることが報告されています。(文献3,4). これは、 「婚姻状態にある女性は未婚の女性に比べて閉経が遅い傾向にあった」 という研究報告が複数あることがベースにあります。つまり、旧来の考えでは「婚姻状態にある女性の方がセックスをする回数が多くなりやすく、それが閉経時期を遅らせているのではないか?」という仮説ですね。. 米国で行われている継続的なコホート研究「Study of Women's Health Across the Nation(SWAN)」を用いて、 約名の女性 のデータが分析されました。ベースライン(研究参加時)インタビューおよび10回のフォローアップ調査(約10年間)でデータが収集されたとのことです。長期間に及ぶ大規模な調査研究、とても大変だったことと想像します。. セックス(性行為)の頻度 については、インタビュー等での調査に基づいて、その時期によって変動する指標が作られ、それを分析に使用しました。質問には以下が含まれました。かなりプライベートな内容なのでそう簡単に実施できる調査でもなく、そういった意味でもこの研究の価値が高いなと感じます。. 統計学的な分析の結果、 「セックスの頻度が低い女性より高い女性の方が、閉経に入る時期が遅い」 ということが示されました。ここでの「頻度が高い」とは「週1回以上」と定義されています。. なお、 「結婚している女性では閉経が遅くなる」という以前の研究結果は、この研究では再現されませんでした (つまりセックスの頻度の影響を除くと、婚姻状態は閉経時期に影響していない、もしくは閉経が早まる影響を与えていそうだった)。. 閉経時期に影響する要素というもの自体をあまり聞いたことがなかったのではないでしょうか。そして、 セックスの頻度が高いことは閉経時期を遅らせる可能性がある 、という結果も驚きですね。. あくまでも1つの研究結果なので、 これで絶対的な因果関係を証明するものではありません が、このテーマで他にあまり大規模な研究がなく、現時点では貴重な知見だと思います。. あと、 セックスには予期せぬ妊娠可能性や性感染症などの側面もありますが、健康にとって良い面も多くある ことがわかっています。 それぞれ、自身が望む性生活をパートナーと共に送れると良いですね。. 参考文献 1 Faddy MJ, et al. Hum Reprod. Hum Reprod Update. Am J Epidemiol. R Soc Open Sci. すでに登録済みの方は こちら. 無料で「産婦人科医・重見大介の本音ニュースレター」をメールでお届けします。 コンテンツを見逃さず、購読者限定記事も受け取れます。. 産婦人科医・重見大介の本音ニュースレター 登録 ログイン. ホーム 記事 スレッド 概要. セックスの頻度が閉経時期に影響するってほんと? 閉経は女性なら誰しもに訪れるもの。ただ、その時期が自分はいつなのか、気になりますよね。今回は、セックスの頻度が閉経時期に影響するかどうかを、エビデンスをもとに解説します。. 重見大介 一般的な閉経時期 自然な閉経時期に影響を与える要素とは セックスの頻度が閉経時期に影響を与えるかもしれない理由 代表的な研究の結果 なぜそのような結果になったと考えられるのか(メカニズム) マイオピニオン(私個人の考えや意見). 喫煙習慣 体重・体格(BMI) 学歴 出産経験 初経の年齢 女性ホルモンの値の変化. さて、気になる 「セックス(広い意味での性行為)の頻度と閉経時期の関連」 はどうだったのでしょうか。. セックスを定期的にすることで、体に妊娠の可能性が常にあることが伝わる すると、排卵を続けた方が良いと判断されてホルモン環境が調整される その結果、閉経時期が後ろにずれる. 提携媒体 コラボ実績 提携媒体・コラボ実績. 書き手から直接、最新記事が届きます。 読者限定の内容も逃しません。. 無料で「産婦人科医・重見大介の本音ニュースレター」をメールでお届けします。 コンテンツを見逃さず、購読者限定記事も受け取れます。 登録.
女性のセックスライフが閉経後に衰える理由 原因の一端はパートナーにあり
閉経・更年期のセックス事情!疑問や悩み&治療と工夫 | ハルメクここだけの話 新しい研究は、閉経に伴うホルモンの変化は女性のセックスライフ(性生活)が年齢とともに減退する理由の一部でしかないことを示している。確かに、多くの 閉経は女性なら誰しもに訪れるもの。ただ、その時期が自分はいつなのか、気になりますよね。今回は、セックスの頻度が閉経時期に影響するかどうかを、 女性のセックスライフが閉経後に衰える理由 原因の一端はパートナーにあり:朝日新聞GLOBE+参考文献 1 Faddy MJ, et al. share この記事をシェア. 今は デリケートゾーン専用ケアオイル など、さまざまな商品が登場しています。日常的にケアすることで、不快感や悩みを軽減できるかもしれません。. 産婦人科医・重見大介の本音ニュースレター 登録 ログイン. なお、これは「自然閉経」の場合です。中には、子宮筋腫やがんの治療で、閉経前に左右の卵巣を摘出する場合もあり、その場合には 「人工的な閉経」 として通常より早めに閉経となります。. Home ブログ デリケートゾーン 【更年期や閉経後の性交痛】濡れない原因、対処法や治療法など性交痛の悩みを女医が丁寧に解説。.
一般的な閉経時期はいつ頃?
【1月21日 AFP】閉経期が近い女性で、高い頻度で性交渉を持っている場合は、それほど性的に活発ではない同年齢の女性に比べて閉経が遅くなるとの研究論文が15日、発表 更年期や閉経後の性交痛は、原因としてエストロゲンの減少だけでなく、子宮腫瘍や卵巣腫瘍の可能性があります。腟炎や性病の可能性も否定できません。婦人 新しい研究は、閉経に伴うホルモンの変化は女性のセックスライフ(性生活)が年齢とともに減退する理由の一部でしかないことを示している。確かに、多くの毎週月曜日更新! 一条ゆかりの今週を乗り切る一言. 閉経 とは、「月経が永久に停止した状態」のことです。1年以上月経が来ない状態が続いたときに、閉経と判断できます。. recommend おすすめ記事. トピックス 知りたい情報がいっぱい. 大人のからだバイブル vol. デリケートゾーン の新着記事. 閉経前後の女性に多く見られるのが、膣の潤い低下による 性交痛 です。痛みが起こることで快感や安らぎを得ることが難しくなり、セックスそのものが苦痛になってしまうことも。. ハルトモ倶楽部 読者のリアルライフ. フェムケア 閉経 Q&A 女性ホルモンとは. セックス(性行為)の頻度 については、インタビュー等での調査に基づいて、その時期によって変動する指標が作られ、それを分析に使用しました。質問には以下が含まれました。かなりプライベートな内容なのでそう簡単に実施できる調査でもなく、そういった意味でもこの研究の価値が高いなと感じます。. 潤い不足で入りません。 性交痛 も病院で治療できる? A. 定期的な 骨盤底筋体操(ケーゲル体操) は、膣への血流を増加させて弾力を高め、膣萎縮のリスクを減らせます。. 買い物 厳選した商品を品揃え. 産婦人科医・重見大介の本音ニュースレター 登録 ログイン. 特別ステップアップセット!モイスチャークリーム 1×3本が付いてさらにお得なセットが販売中! PR. なお、自然な閉経時期には、異なる国や文化間でも大きな差があります(文献2)。生まれつきの卵胞の数には遺伝的な要因が主に影響を与えているものの、 遺伝的ではない要素が閉経時期に影響を与える こともわかってきています。. フォアダイス 陰茎のブツブツ は自然に治らない?専門治療で除去する方法について. 医療法人 心鹿会 理事長。泌尿器科専門医・指導医、性機能専門医、漢方専門医。最近注目されているフェムケアやGSMにいち早く取り組み、婦人科、泌尿器、性機能、外見のコンプレックスなどの、相談しにくい悩みにも対応。下ネタ医療系YouTuberとしての顔も持ち、若い世代から更年期世代、シニアまで幅広い層に人気。. ホーム > 更年期 > 膣ケア・尿漏れ > 閉経後もセックスはできる? 性交痛は婦人科で治療できるの?. もしも性欲が閉経前後でなくなるとすれば、その要因として性交痛などがあげられます。 痛みからセックスを遠ざけていくうちに性欲が減少していくことが原因です。セックス中に違和感や痛みを感じた時は、パートナーと話し合って潤滑ゼリーを使用するなど対策し、無理のないセックスライフにしましょう。. 喫煙習慣 体重・体格(BMI) 学歴 出産経験 初経の年齢 女性ホルモンの値の変化. Dさんは某私立大学の要職にある方に請われ21歳の時から秘書を務め定年まで大学職員として働いてきた。Dさんは外陰部の異常、違和感を訴えて受診したが、それまでに何人かの医師を転々としてきた。診察しても特に問題と思われるほどの所見はなかった。ホルモン補充療法を薦める一方で、本人の希望もあって外用薬を処方した。定期的に通院するようになって、ある時ふと漏らした一言は、夫以外の男性とのセックスの後で外陰部に異常を感じ心配で外用薬を塗ると言う。 Dさんは25歳の時職場結婚をし、その二年後長女を出産したが、そのころから夫婦仲は傾いていった。ほとんどセックスレスの状態であったが、職場での立場もあって離婚はできないままに長い時間が流れ、Cさんは五十歳を過ぎてまもなくの頃、ある男性と出会い恋仲になった。「私はずるいのかもしれない」とも言いながらも、ようやくお互いの心の領域に踏み込まずに夫との共同生活ができるようになった。Dさんはいままでのいくつかの出来事を繋げていくと夫は同姓愛者であったと確信できるようになった。仮面夫婦の背景には多様な性を認めない社会の中に生きる男女の深い悲しみのエピソードが隠されていた。 これらのケースは診療の中で出会った患者さんの一端ではあるが、性はまさに夫婦の生き様、家庭、家族関係のなかに、人間生活が織り成すすべてと深く関わっていることがわかる。性別役割分業の生き方が男女の性を分断していく様、男性主導の一方通行的性が女性の性成熟を阻み男女の性が乖離していく様、また男性自身も勃起、射精のパターンを越えられぬまま、病気や老化による女性側の一方的撤退などから自らの行く手を阻んでいく様、多様な性の生き方が市民権を得られない社会に生きる人間の葛藤、欺瞞、裏切り、男女の闘い、悲哀のシンフォニー・・・が交錯し、性は容易には語れない、あまりに重すぎるテーマであり、結婚という社会制度の中で男女がよりよく性成熟していくには、実に幾多の課題がある1)ことを教えている。. ここだけの話 恋愛と性. 日本の家族は夫婦の伴侶性が乏しいといわれてもきたが、夫婦の性の調査は極めて少なく、ほとんどが性的欲求やセックスの回数、生理的機能についてのデータなどで、男性側の視点からのものである。性は関係性を中核にして成り立つものであり、社会的、歴史的にも男性主導の社会を軸として展開されてきた日本においては、一方で戦前からの家族制度の縛りが男女の心の深層に沈殿しており、そうした男女の不平等、非対等性に向き合わなければ、性の問題の解決のみちすじ、方向性は探れない。日本人男女の関係性に大きく踏みこんだという点で、一九九九〜二千年に行なわれた荒木らセクシュアリティ研究会の「熟年世代のパートナーシップと性」の調査2)3)は画期的であり、その結果は極めて注目される。 熟年世代では性交渉が一年間全くなかった人は、男女とも約四分の一を占め、その性交停止年齢は女性五十二歳、男性五十七歳であり、女性は閉経後ほどなくである。またその理由について、女性は「自分の関心の喪失」( おでかけ女史組 閉経期のデリケートゾーン事情。トラブルにならないように「快適に過ごすケア」を. 閉経前の5年間と閉経後の5年間を合計した10年間の期間を 更年期 といい、この時期には閉経に向けて女性の体にさまざまな変化が起こります。. 閉経は何歳くらいから?セックスライフや更年期との関係性について解説 セックスを定期的にすることで、体に妊娠の可能性が常にあることが伝わる すると、排卵を続けた方が良いと判断されてホルモン環境が調整される その結果、閉経時期が後ろにずれる. セックスの頻度が閉経時期に影響するってほんと? 閉経は女性なら誰しもに訪れるもの。ただ、その時期が自分はいつなのか、気になりますよね。今回は、セックスの頻度が閉経時期に影響するかどうかを、エビデンスをもとに解説します。. とくに更年期になると、性交痛に関するお悩みは目立ってきます。 性交痛があると、痛みへの不安からさらに緊張して痛みが増してしまうといった、悪循環が生まれてしまうかもしれません。性交痛を我慢せず、早いうちに対処しましょう。. さらに、腟内の細菌バランスが崩れることで、萎縮性腟炎(老人性腟炎)を繰り返してしまうという方も少なくありません。更年期に伴う腟の変化は、性交痛だけでなく、さまざまなお悩みにつながるのです。 女性の性器は、生殖に必要な臓器であるため、閉経が近づくと自然と退化するようになっているのだろうと思います。 自然な変化であるといえます。ですが、性行為を継続することにより皮膚への刺激が加わり、腟壁の収縮弛緩が繰り返され、腟壁の血流を保持することにつながります。.